越えがたい壁 "The difficulty of climbing over WALL "
壁。
どんなにがむしゃらに頑張っても、どんなに一途に積み上げてきても、
どれほどの苦難と闘ってきても、どれほどの深い渓谷を墜ちそうになってきても、
順風満帆なんてものは夢想であるかのごとく目の前に立ちはだかる。
ふと周りを見渡せば、輝きに満ち溢れている。
そして鏡越しに映った我を想い、失望の底に墜とされる。
「なぜ自分はこうも恵まれないのか」
「傷つくことを恐れているだけではないか」
「相手本位のあまり、素直に生きることに恐怖をいだいているのではないか」
「なぜ自分はあのようになれないのだろうか」
こうして自暴自棄になるうちに、いつしか大切なものを失くしたことに気がつく。
「自分を愛でる処方箋」
どこでそれを失くしたのかは分からない。
ただ、それを持つことは私の美学に反するのだ。
そんな意地を張り続けた糸は、いつか綻びはじめていた。
教えてくれ、「自分を愛でる処方箋」は決して悪ではないことを。