『グッド・バイ』

 

『グッド・バイ』

言わずと知れた、太宰治の遺作である。

 

遺作といっても書き上げる前に自らの命を絶ったので、「絶筆の未完作」が正しい。


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人やものの価値観がめぐるましく変わりゆく激動の時代を駆けた奇才は、終瀬に何を思ったのだろう。

 

それはきっと

“人間という生き物の愚かさ” であり、

それへの怒りや呆れや悲しみ、

また皮肉にも自らもその一員であるという

葛藤に苦しんでいたにちがいない。

 

私たちは時に、

自分とちがう考えを持つ人間を“変わっている” と批判の的にせしめ、

自分と性格や価値観が合わない人間を 

“変わっている”と蚊帳の外に放り出し、

自分の思い通りにならぬ人間を

“常識外れ”と罵る。

 

人というのは利己的で留まるを知らぬ欲にまみれた生き物である。

私も勿論、その一員である。


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しかしこのどうしようもなく我ままな存在が私たちであり、

自分の価値観やベクトルで人を天秤にかけてしまうことに気づければ、

人との接し方は随分と変わってくる。

 

「今、身勝手になっているな、なりそうだ」

と解るだけで、行動が変わる。

相手に対して “誠実” になれる。

 

さぁ、身勝手な自分に、

心から『グッド・バイ』。

 

thanks for reading!